<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>

<rdf:RDF
  xmlns:rdf="http://www.w3.org/1999/02/22-rdf-syntax-ns#"
  xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/"
  xmlns:sy="http://purl.org/rss/1.0/modules/syndication/"
  xmlns:admin="http://webns.net/mvcb/"
  xmlns:content="http://purl.org/rss/1.0/modules/content/"
  xmlns:cc="http://web.resource.org/cc/"
  xmlns="http://purl.org/rss/1.0/">

<channel rdf:about="http://mayushiki.cocolog-nifty.com/blog/">
<title>私の日常　繭式編</title>
<link>http://mayushiki.cocolog-nifty.com/blog/</link>
<description>物書きタマゴの日記帳</description>
<dc:language>ja-JP</dc:language>
<dc:creator></dc:creator>
<dc:date>2009-11-08T00:26:10+09:00</dc:date>
<admin:generatorAgent rdf:resource="http://www.typepad.com/" />


<items>
<rdf:Seq><rdf:li rdf:resource="http://mayushiki.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-c873.html" />
<rdf:li rdf:resource="http://mayushiki.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-cafd.html" />
<rdf:li rdf:resource="http://mayushiki.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-676e.html" />
<rdf:li rdf:resource="http://mayushiki.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-e16d.html" />
<rdf:li rdf:resource="http://mayushiki.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-0780.html" />
</rdf:Seq>
</items>

</channel>

<item rdf:about="http://mayushiki.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-c873.html">
<title>夢見る竜とＧＷ編２６コイゴコロ　筆の人の場合</title>
<link>http://mayushiki.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-c873.html</link>
<description>あらすじ：宝貝ミケちゃんから吐き出されたのは、竹林の掛け軸の中で遭遇した筆の人だ...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;あらすじ：宝貝ミケちゃんから吐き出されたのは、竹林の掛け軸の中で遭遇した筆の人だったが……。&lt;br /&gt;&lt;a href=&quot;http://novel.blogmura.com/novel_fantasy/&quot;&gt;&lt;img height=&quot;31&quot; alt=&quot;にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ&quot; src=&quot;http://novel.blogmura.com/novel_fantasy/img/novel_fantasy88_31.gif&quot; width=&quot;88&quot; border=&quot;0&quot; /&gt;&lt;/a&gt;はじめましての方もいつも読んでるよ～の方もお越しくださって本当にありがとうございます。お立ち寄りの際や、お話を気に入ってくださった時は励ましのぽちっとなボタンをお願いします。週末はいつも仕事疲れでうにゃうにゃです。うにゃうにゃなところを猫がのっかります。六キロです。さすがに足がしびれます……。&lt;br /&gt;　※著作権は放棄しておりません。※転載・複製禁止です。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;&lt;span style=&quot;color: #ff3333;font-size: 1.2em;&quot;&gt;&lt;strong&gt;私の日常　夢見る竜とＧＷ編２６&lt;/strong&gt;&lt;/span&gt;&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　ミケちゃんに吐き出された筆の人が、立ち上がろうとする。&lt;br /&gt;　あまり丁寧な出され方じゃなかったのか、悪酔いしたように足元がおぼつかない。&lt;br /&gt;　畝だらけになった布団でバランスを崩しかけたので、とっさに私は片手に卵を抱えたまま、相手の腕を摑んで支えた。&lt;br /&gt;「ああ、どうも……」&lt;br /&gt;　言いかけた筆の人が、こちらに振り返るなり、力一杯腕を払った。&lt;br /&gt;「うひゃっ！？」&lt;br /&gt;　払われた力で私の方がバランスを崩し、半回転して布団の上にひっくり返る。&lt;br /&gt;　背中からだったので、とりあえず抱えた卵はセーフ。&lt;br /&gt;「危ないじゃないですかっ」&lt;br /&gt;「じゃあ、触らないでくれる？」&lt;br /&gt;　筆の人は硬い表情のまま、私が摑んだ箇所を、泥でもついたみたいに、神経質に払っている。&lt;br /&gt;　な、何だろう。極度の潔癖症かな……？&lt;br /&gt;「で、この男が結界とどう関係している」&lt;br /&gt;　ひっくり返って膝までめくれた私の浴衣の裾を直しながら、町田さんが静かに筆の人を一瞥する。別にさくら君みたいに視線で威圧しているわけでもないのに、町田さんを見る筆の人のこめかみには、うっすらと汗が浮いている。この人、町田さんの体にいる神様が見えてるのかなー。竹林の掛け軸では、壺のミケちゃんが見えてたみたいだし。&lt;br /&gt;「それは分かんないけどお、こないだこころちゃんを囮にして結界の力がどこから来るか調べたらあ、三つも質の違う陰の気とつながってて、それを倒しちゃう人も三人いてえ、その内の一人がこころちゃんの後をつけてきて、あたしの家を嗅ぎまわってたから、捕まえたんだけどお」&lt;br /&gt;「今、さらりとコワイこと言いましたよね」&lt;br /&gt;　やっぱりあの竹林の掛け軸、全然近道じゃなかったんだ……。&lt;br /&gt;「だってえ、一番元気な子にくっつきかけた符の術式は、あたしがフォローに行ったから完全に解けたけどお、残りの二人のはまだつながったままだしい」&lt;br /&gt;「はい？」&lt;br /&gt;　今、更にさらりと怖いこと言いませんでした？&lt;br /&gt;「符の力が子供の体に転移しちゃってるのよお」&lt;br /&gt;「じゃあ、さっきから綾井さんが言ってる結界がつながってるややこしいトコって、澪海くんと葉守くんのことですかっ？」&lt;br /&gt;　ここに来て、すっかり元気になったとばかり思ってたのに。&lt;br /&gt;「そお。だから符を構成してる陰の気に詳しそうな人がいればいいかなーって」&lt;br /&gt;「なに勝手なこと言ってんの？」&lt;br /&gt;　町田さんからなかなか注意を逸らせずに、苛立たしそうに髪をかき上げながら、筆の人は吐き捨てるように言った。&lt;br /&gt;「人のこと都合の良い道具か何かみたいに」&lt;br /&gt;「えぇ？ちょっと手伝ってくれてもいいじゃなあい」&lt;br /&gt;「甘えて駄々こねれば自分の意見が通るとでも思ってる？これだから女って……」&lt;br /&gt;　筆の人が綾井さんを見やる。&lt;br /&gt;「……女はひどいよね。優しくすればつけ上がって、冷たくすれば逆上する。自分を理解しろと言うくせに、こっちのことにはまるで気遣いのひとつも見せやしない。プレゼントは高価で当たり前。サプライズにブランドの付加価値は当たり前。結局金と見栄さえ満たされれば、隣にいるのが誰だろうと構いやしない。遊んで飽きたら人の金目のものだろうと売り払ってほかの男に走るような奴らだよ」&lt;br /&gt;　それはまたよりにもよってひどい人達とばっかり付き合いましたねー。&lt;br /&gt;「もう二度と女なんか信じない」&lt;br /&gt;　つまり、この筆の人、過去に複数の女性からひどい目に合って、女性不信になっちゃったわけか。&lt;br /&gt;　力なく目を伏せる筆の人が呟いた。&lt;br /&gt;「でも……今ようやく分かったんだ」&lt;br /&gt;　ん？&lt;br /&gt;「今までそんな醜い奴らに虐げられてきたのも、あの地獄のような日々を這いずり回ってきたのも、全てあなたという美に巡り会うための、ただの書き割に過ぎなかったんだって……！！」&lt;br /&gt;　……あー、結局そうなっちゃうわけなのね。書き割って、舞台背景とかの絵のあの書き割のことかな？&lt;br /&gt;　筆の人は十年ぐらい前にこっぴどい目にあったときに自棄買いしたとかいう万年筆コレクションを、当たり前のように綾井さんにプレゼントしていく。&lt;br /&gt;　クロネのエベレスト（エベレスト山頂の岩を埋め込んである）十八万円、パイロットの蒔絵双鶴（職人さんが六十日かけて漆や金粉を蒔いて全面を木炭で研いだ加賀蒔絵）二十万円、クロネのエイブラハム・リンカーン（リンカーン大統領の毛髪から抽出したＤＮＡをアメジストに封入してる）二十二万円、ウォーターマンのシニエ・ブシュロン（フランスの高級宝石商ブシュロンとの共同制作、世界３７４１本限定）二十五万円、スティピュラのローラス（古代ローマ時代の競馬を題材にアセテート製のペン軸に純銀の彫刻、世界３９８本限定）三十五万円、クロネのシェークスピア（生家の桑の木を封入、世界３８８本限定）三十六万円。計百五十六万円の世界限定品は、十年前の値段だから今はもっと高いはず。それから、プライスレスな筆の人の笑顔。&lt;br /&gt;　散々カモられておきながら、全く学習してないな、この人。ふみ兄みたい……。&lt;br /&gt;　とりあえず、協力はしてもらえそうだから、私は綾井さんが散らかした符の破片でも片付けようかなーとか、子猫ミケちゃんのかわいい背中を撫でながら、そんなことをぼんやりと考えていた。&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:subject>小説</dc:subject>

<dc:creator>繭式</dc:creator>
<dc:date>2009-11-08T00:26:10+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://mayushiki.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-cafd.html">
<title>夢見る竜とＧＷ編２５ハリセンでしばき倒すっていったら……</title>
<link>http://mayushiki.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-cafd.html</link>
<description>あらすじ：ひなびた温泉宿でゆったり温泉に浸かるものの兄がいるかもしれない事実にぐ...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;あらすじ：ひなびた温泉宿でゆったり温泉に浸かるものの兄がいるかもしれない事実にぐったりする星庵心だが……。&lt;br /&gt;&lt;a href=&quot;http://novel.blogmura.com/novel_fantasy/&quot;&gt;&lt;img height=&quot;31&quot; alt=&quot;にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ&quot; src=&quot;http://novel.blogmura.com/novel_fantasy/img/novel_fantasy88_31.gif&quot; width=&quot;88&quot; border=&quot;0&quot; /&gt;&lt;/a&gt;はじめましての方もいつも読んでるよ～の方もお越しくださって本当にありがとうございます。お立ち寄りの際や、お話を気に入ってくださった時は励ましのぽちっとなボタンをお願いします。&lt;br /&gt;　※著作権は放棄しておりません。※転載・複製禁止です。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;&lt;span style=&quot;color: #ff3333;font-size: 1.2em;&quot;&gt;&lt;strong&gt;私の日常　夢見る竜とＧＷ編２５&lt;/strong&gt;&lt;/span&gt;&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　私も部屋に戻ると、町田さんが正座をしてお茶を淹れていた。&lt;br /&gt;　宿泊することになった部屋は、飛司少年たちや、さくら君、一応剣の人用の男子部屋と、町田さん、綾井さん、私用の女子部屋のふたつで、葉守少年が戻った男子部屋の隣が、女子部屋になっている。&lt;br /&gt;「お帰り。湯加減どうだった」&lt;br /&gt;「はあ、まあ、良かったですけど……何ですか、これ？」&lt;br /&gt;　町田さんの周囲には破れた大量の紙が散乱している。&lt;br /&gt;「符だ。卵に貼りついていた」&lt;br /&gt;　多分自分用に淹れたお茶を、私に差し出す町田さん。&lt;br /&gt;「じゃあ、奥の部屋から聞こえる、何かをしばき倒すみたいな音は……？」&lt;/p&gt;&lt;p&gt;　お茶を飲んで出てくる以外の居心地の悪い汗を感じつつ尋ねると、町田さんは大真面目に答えた。&lt;br /&gt;「綾井がハリセンで卵をしばき倒す音だ」&lt;br /&gt;「何故っ！？」&lt;br /&gt;　意味不明な行動を見極めるために襖を開けると、果たしてそこには町田さんが言ったとおりの状況が展開されていた。&lt;br /&gt;　綾井さんがハリセンを持って、竜の卵と対峙している……。&lt;br /&gt;　あーあ、折角仲居さんが丁寧に敷いてくれたであろう、お布団の並びが、耕した畑の畝みたいになってる。&lt;br /&gt;「本気でハリセンだ……」&lt;br /&gt;　私の呟きが終わらぬ内に、綾井さんが一歩卵に踏み込んで、神速の袈裟懸け（ハリセンだけど）を一閃させる。&lt;br /&gt;　それを卵は回転して紙一重でかわし、宙で三回転半すると、私の腕にすっぽりとおさまった。&lt;br /&gt;　卵なのに、すっごい自主的に動くなあ……。&lt;br /&gt;「ああん、避けたら残りの結界解けないじゃなあいっ」&lt;br /&gt;　ハリセンを放り出し、ふて寝する綾井さん。体のあちこちに破れた符が貼り付いているのに、綾井さんにくっついているというだけで、髪飾りやアクセサリに見えたりするから不思議だ。&lt;br /&gt;「いや、でもハリセン振り回されたら、避けたくなるのでは……？」&lt;br /&gt;　抱えた卵が私の言葉に頷きのような動きを返す。こちらの言葉が聞こえているらしい。&lt;br /&gt;「そんなことじゃ関西で生き残れないわよお！」&lt;br /&gt;「これボケツッコミの練習じゃないですよね……？」&lt;br /&gt;　地下で抱えた時より、さらに大きくなった卵の表面は、ハリセンの攻撃でビリビリになった符が何枚もこびりついてる。種類が色々あるらしく、外側は比較的新しい紙だけど、重なった奥の方にはちらりと古い紙がのぞいている。&lt;br /&gt;「だってえ、素手で触ると静電気がくるものお」&lt;br /&gt;　だからって、ハリセンはどうかと。&lt;br /&gt;「静電気？……しませんけど？」&lt;br /&gt;　さっきから卵をずっと抱えてるけど、バチッとしたりはしない。&lt;br /&gt;「そーいう奴なのよお。昔っから人間の女子には甘いからあ」&lt;br /&gt;　あー、そういえば本来はエロくてセクハラな竜だっけ。今は卵だから分からないけど。&lt;br /&gt;「結界がとけないと卵のままなんですか？」&lt;br /&gt;「別にあたしはそれでもいいんだけどお。結界がややこしいトコにつながちゃってるからあ、ほっとくとちょっとキケン？」&lt;br /&gt;　綾井さんがちょっとキケンって言うぐらいだから、実際はかなりものすごく危ないってことになるのかな？抱えた卵がビミョーに震えてるのは多分、怒ってるからかも。&lt;br /&gt;「どこにつながっている」&lt;br /&gt;　お茶を飲みながら、町田さんが訊いてくる。&lt;br /&gt;「あっ、そういえばあ、ミケちゃんからつながったとこに関係あるものをつかまえたって、電話があったわあ」&lt;br /&gt;「えっ、ミケちゃん、しゃべるんですか？」&lt;br /&gt;「しゃべるっていうかあ、モールス信号みたいな？」&lt;br /&gt;　私の脳裏に浮かぶのは、子猫ミケちゃんが電話に向かって「みゃ・みゃ・みゃ・みゃ（Ｈ）、みゃー・みゃー・みゃー（Ｏ）、みゃー・みゃ・みゃー（Ｋ）、みゃ・みゃー（Ａ）、みゃー・みゃ・みゃー（Ｋ）、みゃ・みゃ・みゃー（Ｕ）」と嬉しそうに鳴く姿だった。&lt;br /&gt;　綾井さんはふて寝から回復すると、例によって例の如く、どこからか例の巻き物を取り出した。&lt;br /&gt;「別に今ここで出さなくてもいいと思うんだが……」&lt;br /&gt;　至極冷静な町田さんの声など聞く耳持たずで、速攻ひろげられた絵の中から、待ち構えていたように銀豹のミケちゃんが飛び出すと、敷かれた布団に太い足をがっつり踏ん張って、それを吐き戻した。&lt;br /&gt;　イカ津波みたいな衝撃が来るかと思いきや、布団の上に吐き出されたのは、見覚えのある人影がひとつ。&lt;br /&gt;「やれやれ、出すなら出すって言ってよ」&lt;br /&gt;　丁寧な口調に鋭い毒を滲ませるのは、竹林の掛け軸で会った、細い筆の人だった。&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:subject>小説</dc:subject>

<dc:creator>繭式</dc:creator>
<dc:date>2009-11-01T13:42:01+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://mayushiki.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-676e.html">
<title>夢見る竜とＧＷ編２４ひなびた温泉宿っていったら……</title>
<link>http://mayushiki.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-676e.html</link>
<description>あらすじ：竜の卵？を救出し、ひなびた温泉宿に辿り着いた星庵心たちだったが……。 ...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;あらすじ：竜の卵？を救出し、ひなびた温泉宿に辿り着いた星庵心たちだったが……。&lt;br /&gt;&lt;a href=&quot;http://novel.blogmura.com/novel_fantasy/&quot;&gt;&lt;img height=&quot;31&quot; alt=&quot;にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ&quot; src=&quot;http://novel.blogmura.com/novel_fantasy/img/novel_fantasy88_31.gif&quot; width=&quot;88&quot; border=&quot;0&quot; /&gt;&lt;/a&gt;はじめましての方もいつも読んでるよ～の方もお越しくださって本当にありがとうございます。お立ち寄りの際や、お話を気に入ってくださった時は励ましのぽちっとなボタンをお願いします。&lt;br /&gt;　※著作権は放棄しておりません。※転載・複製禁止です。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;&lt;span style=&quot;color: #ff3333;font-size: 1.2em;&quot;&gt;&lt;strong&gt;私の日常　夢見る竜とＧＷ編２４&lt;/strong&gt;&lt;/span&gt;&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;「うあー、生き返るー……」&lt;br /&gt;　小さな露天風呂には自分以外誰も居らず、やや丸みを帯び始めた空の半月だけが、周囲の空気を青白く染めて眩しいぐらいだった。&lt;br /&gt;　お湯に浸かると体の冷えが、疲れと一緒に溶けていく。&lt;br /&gt;　自分の体も、月の光でぼんやりと、輪郭は曖昧で、湯気と一緒にとろけていく。&lt;br /&gt;はあー、このまま寝てしまいそうなぐらい気持ちいいや。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;「うわあ。お月様がすごくキレイだよ、葉守君」&lt;br /&gt;「あと一週間ほどで満月だな」&lt;br /&gt;　木の塀の向こう側から、澪海少年の明るい声が聞こえた。&lt;br /&gt;　根っこと対決してた時は、綾井さん曰く負の気にあてられてぐったりしていたけれど、このひなびた温泉宿のある山は全く逆の気質で、巻き物から出された三少年達は、本人も首を傾げるほどの勢いで回復した。&lt;br /&gt;「仕事の後の風呂はいいねえ」&lt;br /&gt;　溺れて気を失っていた剣の人も、意識が戻れば鼻歌交じりで温泉に浸かりに行く元気の良さだけど、仕事って本来のクライアントは某製薬会社の誰かで、その会社の工場が汲み上げてたいわく付きの地下水脈を一緒に潰しちゃったんですけど、いいんですか、それで。&lt;br /&gt;　私達と行動するのが当然みたいなことになってますけど、後で困らないんだろうか、あの人。&lt;br /&gt;　大分温まったところで、岩風呂から上がり、体を洗い始める。綾井さん、後から行くとかって言ってたけど、全然来ないなあ。&lt;br /&gt;　そんなことを考えていると、戸が開く。あ、やっと来……。&lt;br /&gt;「あれっ？葉守と澪海は？」&lt;br /&gt;　入り口には素っ裸で、頭に洗面器をのっけて仁王立ちする飛司少年がいた。&lt;br /&gt;　話し声の途切れた木塀の向こう側が、やけに静まり返っている。&lt;br /&gt;「……飛司くん、こっち女湯なんだけど……」&lt;br /&gt;「えっ、マジ？ゴメンゴメン！」&lt;br /&gt;　朗らかな表情で飛司少年は女湯を出て行き、一分もしない内に男湯の方から澪海少年の動揺した声が響いた。&lt;br /&gt;「ちょ……ちょっと飛司くん、今となりの女湯にいなかった……！？」&lt;br /&gt;「あー、間違えてさー。お前らいねーからヘンだなーって」&lt;br /&gt;「ちゃんと謝ったの！？」&lt;br /&gt;「ごめんって言ったって！」&lt;br /&gt;　湯船に勢いよく浸かりながら、飛司少年はなおも言う。&lt;br /&gt;「でもさー、あのねーちゃん、もっとメシくわないと美人のねーちゃんみたいに胸でっかくなんないぜー」&lt;br /&gt;「そこっ、綾井さんと比べないっ」&lt;br /&gt;　あまりの飛司少年の正直っぷりに、思わず女湯からツッコミを入れる。&lt;br /&gt;「うわっ、聞こえてたっ」&lt;br /&gt;　逆に面白がって大笑いしながら湯船で泳いでるらしい飛司少年。&lt;br /&gt;　結局、三少年全員に見られましたよ、全く……。&lt;br /&gt;「何をしている」&lt;br /&gt;　温泉が凍りそうなぐらい冷ややかで不機嫌そうな葉守少年の声。&lt;br /&gt;「大人の事情ってやつでさあ」&lt;br /&gt;「塀をよじ登ろうとするのが、か」&lt;br /&gt;　剣の人がのぞきを企てているらしい。&lt;br /&gt;「綾井さん来てませんよー」&lt;br /&gt;　どうせ目当ては綾井さんだけだろうし、先に教えておかないと。&lt;br /&gt;「あのお美しい方は綾井さんと仰るんで？」&lt;br /&gt;　いないの信じてないのかなー。まだ塀からギシギシと音がする。&lt;br /&gt;「そうですけど……そう言えば、そちらのお名前もまだ聞いてませんでしたっけ？」&lt;br /&gt;「……あー、そいつはちょいとごカンベン……って、しまった……！」&lt;br /&gt;　木の塀が軋んで表面から一斉に新緑が芽吹いた。&lt;br /&gt;　こちら側からはそれだけだったが、多分向こう側ではもっとすごいことになってるんだろう。&lt;br /&gt;「き、切れねェッ！ちょっと坊っちゃん、ご無体な！これ外して下さいよ！」&lt;br /&gt;　伸びた枝に絡まれて、剣の人は身動きが取れない状態になっているようだった。葉守少年の能力は、どうやら岩だけじゃなくて木にも作用できるらしい。&lt;br /&gt;　剣の人が懇願しても、葉守少年からの返事はなかった。代わりにヒタヒタと風呂場を去る小さな足音。&lt;br /&gt;「何だよ、あいつキゲン悪いなー」&lt;br /&gt;「飛司くんのせいだと思うよ……」&lt;br /&gt;「えっ、何で？」&lt;br /&gt;　ああ、だめだ。これ以上いるとのぼせてしまうから出よう。浴衣に着替えて部屋に戻ろうとすると、卓球台の置いてあるスペースの片隅に、ノートが一冊置いてあった。宿の感想を自由にお書き下さいと張り紙にあるので、何となくページをめくってみる。&lt;br /&gt;　常連さんが多いらしく落ち着いた一言が綴られる中、最後のページだけ、何かが違った。&lt;br /&gt;『星庵文　惨状！！』&lt;br /&gt;　兄……字、間違えてるよ……。確かにある意味惨状になってるけど。修学旅行生のラクガキみたい……。酔っ払ってる時に書いたのかな……。&lt;br /&gt;　兄の一言の後に『お前のエグザイルは半端ねえ！！』とか『また踊ってください（何故かハートマーク付）』とか『アンタのこと師匠って呼ぶゼ！』とか『マジヤバイ』とか『あなたのダンスで色々吹っ切れました（何が？）』とかやたら好評なコメントが書かれてなきゃ、ノート破ってこの恥ずかしい記録を抹消するものを……。&lt;br /&gt;　そうかー、ふみ兄ここに来てたのかー。まだいるのかなー……。ちょっと会いたくないなー……。&lt;br /&gt;「星庵殿？」&lt;br /&gt;　精神的ダメージを受けながら廊下を歩いていると、さくら君と会った。腕には時計の姿の賢者さん。&lt;br /&gt;「今からお風呂？」&lt;br /&gt;　頷くさくら君は、ちょっとこちらを見たあと、落ち着な気に視線を逸らした。&lt;br /&gt;「さくら君……？」&lt;br /&gt;「は！」&lt;br /&gt;　返事は元気なのに何でこっちを見ないのだろう？&lt;br /&gt;　ふと視界の端に、小さな影が通り過ぎた。葉守少年だ。こちらを見ていた視線を逸らして部屋へと戻っていく。&lt;br /&gt;「葉守君」&lt;br /&gt;　葉守少年を呼んだのに、さくら君が妙にぎくりと体を強張らせる。&lt;br /&gt;「……何か用か」&lt;br /&gt;　立ち止まった葉守少年の着ている浴衣は、どういうわけか宿のデザインと違う。もしかして自前？&lt;br /&gt;「さっき、ありがとう」&lt;br /&gt;「……大したことじゃない」&lt;br /&gt;　葉守少年はそれだけ言うと、部屋の戸を閉めた。ぽつんと取り残される私とさくら君。&lt;br /&gt;「喧嘩でもした？」&lt;br /&gt;「いえ、そのようなことは……」&lt;br /&gt;　続きは言いたくなさそう。何か話はしたんだな。じゃあ、さくら君にとって、やたらデリケートな部分に触れる話題でも出されたか。てことは、コイバナ？葉守少年がそんな話するかなー？&lt;br /&gt;　風呂場に向かうさくら君に私は声を掛けた。&lt;br /&gt;「塀に張り付いてる人はほっといていいからねー」&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:subject>小説</dc:subject>

<dc:creator>繭式</dc:creator>
<dc:date>2009-10-26T00:03:20+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://mayushiki.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-e16d.html">
<title>夢見る竜とＧＷ編２３蛍光の人影</title>
<link>http://mayushiki.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-e16d.html</link>
<description>あらすじ：根の追跡を逃れた星庵心は綾井につれられ、さくらとともに鍾乳洞の岩場を登...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;あらすじ：根の追跡を逃れた星庵心は綾井につれられ、さくらとともに鍾乳洞の岩場を登りだしたが……。&lt;br /&gt;&lt;a href=&quot;http://novel.blogmura.com/novel_fantasy/&quot;&gt;&lt;img height=&quot;31&quot; alt=&quot;にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ&quot; src=&quot;http://novel.blogmura.com/novel_fantasy/img/novel_fantasy88_31.gif&quot; width=&quot;88&quot; border=&quot;0&quot; /&gt;&lt;/a&gt;はじめましての方もいつも読んでるよ～の方もお越しくださって本当にありがとうございます。お立ち寄りの際や、お話を気に入ってくださった時は励ましのぽちっとなボタンをお願いします。&lt;br /&gt;　※著作権は放棄しておりません。※転載・複製禁止です。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;&lt;strong&gt;&lt;span style=&quot;color: #ff3333;font-size: 1.2em;&quot;&gt;私の日常　夢見る竜とＧＷ編２３&lt;/span&gt;&lt;/strong&gt;&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　足取り軽やかな綾井さんの背を追いながら、岩場を登っていく。&lt;br /&gt;　さくら君が持つ懐中電灯の光はさほど遠くまで照らすタイプでもないのに、先を進む綾井さんの姿は、闇の中でも奇妙にくっきりと浮かび上がって見える。&lt;br /&gt;　まるでそこだけ空気が輝いているみたいだ。なんか歩きやすそうでいいなあ。&lt;br /&gt;　私は符だらけになった卵を抱えてひたすら岩の坂道やら隙間やらをよじ登り、時々さくら君に荷物よろしく引っぱり上げられる。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;　結構高い所まで上がったんだろうか。こういう時は周りが暗くて逆に助かる。下まで見えたら多分コワくて進めなくなるだろうな。&lt;br /&gt;　そんなことを考えていると、空気の匂いが変わった。外だ。&lt;br /&gt;　木々の間に微かな赤みから、藍と紺、そして漆黒へと移っていく空が覗く。星もいくつか瞬きはじめていた。&lt;br /&gt;　じき陽が暮れてしまうのに、ほっとした。山の中には変わりないけど、最初に洞に入った工場近くの雰囲気とはまるで違う。吸い込む空気にはたくさんの木々や植物のにおいがあった。生きものたちがたてる鳴き声や音が聞こえる。やわらかな地面は気のせいか、温かく、ずぶ濡れの体も気にならない。すごく居心地がいい。&lt;br /&gt;「綾井さーん……ここどこですかー…」&lt;br /&gt;　でもやっぱり疲れた声の自分がいた。昼からずっと休みなしだから当然だ。むしろこんなに動ける方が奇妙かも。綾井さんのお茶か、それともこの卵か。いきなり倒れなければこの際どっちでもいいけど。&lt;br /&gt;「待ち合わせ場所よお。この辺だと思うんだけどお」&lt;br /&gt;　そんな曖昧でいいのかー……。&lt;br /&gt;　呑気な返事をして、何かを探し出す綾井さんにつられて、周りを見渡すと、薄闇にふうっと淡い光が明滅した。&lt;br /&gt;「あれですか？」&lt;br /&gt;　揺れる明かりはひとつかと思えば、五つも六つも増えたりしながら、まるで蛍のように飛び交っている。蛍にしてはちょっと大きすぎるけど。&lt;br /&gt;「そうみたい」&lt;br /&gt;　綾井さんが手を振ると、頼りない光はこちらに気付いたのか静かにやって来る。足音がひとつ。&lt;br /&gt;「……正規のルートで来たわけではなさそうだな」&lt;br /&gt;　呆れた呟きは、聞き覚えのある声だった。&lt;br /&gt;「町田さん？」&lt;br /&gt;「また綾井に振り回されたか……」&lt;br /&gt;　私のずぶ濡れ姿を頭から爪先まで眺めて溜息をつきながら、町田さんは頷いた。山の暗闇よりなお暗い黒服は相変わらずだ。しかし夜にその格好って、肌が見えてるの顔だけでコワイです。&lt;br /&gt;「ちょっとお、こころちゃんは自分で来たいって言ったのよお」&lt;br /&gt;　それは本当。自分がっていうより、さくら君のストレス解消が目的なんだけど。&lt;br /&gt;「星庵殿、ご助力される内容は今後吟味した方が良いかと」&lt;br /&gt;　えっ、いやあの、さくら君からそんなこと言われると、若干釈然としないものを感じるんですが、やっぱりさすがに慣れないバス旅行と山登りと根っこ相手と救出潜水といかだ作成と荷物持ちの重労働で疲れたかっ！？って、疲れるなあ、そんなハードスケジュール。ちょっとストレス解消の域から逸脱しまくりました……。&lt;br /&gt;「とにかく行こうか。そう遠くない。あと少しで休めるから。五分ほどの距離だ」&lt;br /&gt;　町田さんの気遣いたっぷりな言葉に、少し元気が出て頷く。ここが温かいといっても、いつまでもこのままだと風邪の元だ。&lt;br /&gt;　歩き出した町田さんの周囲が、高速道路のトンネル内の照明並みに明るくなる。&lt;br /&gt;　さっきの蛍みたいな光が、体のあちこちから出たり入ったりしていた。これも町田さんの体の中にいる神様かな？&lt;br /&gt;　私が今まで見たのは宇宙船での黒いクモの巣みたいなのと、黒い仔犬さんだけど、この光はそのどっちでもないような感じだ。ふわふわと町田さんの周りで漂って、遊んでいるようにも見える。&lt;br /&gt;　町田さんが言ったよりも、ほんの少し長く歩いた後、暗闇にぽつんと灯る明かりに辿り着く。&lt;br /&gt;　そこはひなびた小さな温泉宿だった。&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:subject>小説</dc:subject>

<dc:creator>繭式</dc:creator>
<dc:date>2009-10-17T19:29:08+09:00</dc:date>
</item>
<item rdf:about="http://mayushiki.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-0780.html">
<title>夢見る竜とＧＷ編２２蒼い水面</title>
<link>http://mayushiki.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-0780.html</link>
<description>あらすじ：根から零れた卵をつかまえたのも束の間、水脈へ落ちる心たち。根に追いかけ...</description>
<content:encoded>&lt;p&gt;あらすじ：根から零れた卵をつかまえたのも束の間、水脈へ落ちる心たち。根に追いかけられたが綾井の破壊的な料理の腕でどうにか逃れるが……？&lt;br /&gt;&lt;a href=&quot;http://novel.blogmura.com/novel_fantasy/&quot;&gt;&lt;img height=&quot;31&quot; alt=&quot;にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ&quot; src=&quot;http://novel.blogmura.com/novel_fantasy/img/novel_fantasy88_31.gif&quot; width=&quot;88&quot; border=&quot;0&quot; /&gt;&lt;/a&gt;はじめましての方もいつも読んでるよ～の方もお越しくださって本当にありがとうございます。お立ち寄りの際や、お話を気に入ってくださった時は励ましのぽちっとなボタンをお願いします。や、やっと更新できた……。すいません、しばらくこんなにゅるーっとした進み具合になると思います……。&lt;br /&gt;　※著作権は放棄しておりません。※転載・複製禁止です。&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;&lt;span style=&quot;color: #ff3333;font-size: 1.2em;&quot;&gt;&lt;strong&gt;私の日常　夢見る竜とＧＷ編２２&lt;/strong&gt;&lt;/span&gt;&lt;br /&gt;&lt;br /&gt;　蒼い。蒼い水面から天を貫く岩の柱がいくつも聳えている。&lt;br /&gt;　音は無い。とても静かな場所。&lt;br /&gt;　どこまで行っても蒼い水と、岩の柱しかない。&lt;br /&gt;　岩のひとつに人影が現れた。柱から突き出したわずかな足場から、水面を見下ろしている。&lt;br /&gt;　澄んだ水底には、全く違う景色が映っていた。底にある景色そのものだろうか。&lt;br /&gt;　人の住む街。雑多な人の気配の渦巻く都市、町、村。&lt;br /&gt;　水面が揺れるたび、景色は別の場所へ移り変わっていく。&lt;br /&gt;　人影はずっとそれを見下ろしている。朝も昼も夜も、水底の景色に花が咲き、緑が繁り、果実を残して枯れていくのを何度も繰り返していく、その景色をずっと見ている。&lt;br /&gt;　どれぐらいそうしていたのか、人影が腕を差し出した。&lt;/p&gt;&lt;p&gt;　手から何かが零れる。光。体から溢れた光が腕を伝い、水面へと落ちていく。光が水に沈んでいく。&lt;br /&gt;　止めなければ。何故かそう思った。その光があんまりにも温かくて、それなのに弱々しかったからかもしれない。&lt;br /&gt;　止めなければと思うのに、体は動かない。&lt;br /&gt;　溢れた光で視界を遮られ、何も見えなくなっていく。&lt;br /&gt;「あら、起きたあ？」&lt;br /&gt;　懐中電灯を持った綾井さんが覗き込む。眩しい。顔に光を当てないで下さい……。そう言おうとして、別の言葉が、口の中で消えていく感覚が残った。あれ？何を言おうとしたんだろう。今見た夢で、頭がぼんやりしている。&lt;br /&gt;「ここ、どこですか？」&lt;br /&gt;　起き上がると、暗い空間に大量の水が流れる轟音が響いていた。とりあえず、今いるのは岩の上みたいだけれど。&lt;br /&gt;「水脈の途中にある洞窟のひとつかと」&lt;br /&gt;　立て続けにくしゃみをした私に、乾いたタオルを差し出して答えたのはさくら君だった。あ、ちゃんと賢者さんもいた。良かった良かった。木の根っこに刺しっぱなしになってたらどうしようかと思った。弾けた根にいかだをひっくり返された後、ここに流れ着いたか、さくら君か綾井さんに運ばれたかのどっちかだな。&lt;br /&gt;「みんないるの？」&lt;br /&gt;　綾井さんの懐中電灯の先に、気を失っている飛司少年と葉守少年がいる。&lt;br /&gt;「いま案内役の人を拾いに……あ、来たあ」&lt;br /&gt;　背後から激しい波が打ちつけると、シャチぐらい大きなイルカが岩場に乗り上げてきた。背に変身した澪海少年がぐったりしたまま乗っている。&lt;br /&gt;　灯りでイルカの体内が乱反射した。中で剣の人が漂っている。透明だ。このイルカ、水で出来てるのか。&lt;br /&gt;「白目むいてるけど、大丈夫……？」&lt;br /&gt;　本気で泳げなかったんだ、剣の人。左腕だけやけに下を向いているから、もしかしたらあの剣が重いのかもしれない。&lt;br /&gt;　宇宙船でイカ津波に流された時の自分もこんな具合だったのかと思うと、ちょっと悲しい。&lt;br /&gt;　水で出来たイルカは大きく揺れると、澪海少年と剣の人を振り落として、流れの中に戻っていった。その時にはすでにイルカの姿ではなく、崩れかけた波のかたまりになっていた。&lt;br /&gt;「じゃあ……あと、お願いしま……」&lt;br /&gt;　変身の解けた澪海少年は、そこまで言うと、地面に倒れ込む。普段は飛司少年の後ろに隠れてるけど、能力的にはこの子が一番高かったりして。&lt;br /&gt;「はいはあーい、それじゃあ、出発う」&lt;br /&gt;「綾井さん、綾井さん、四人ほど倒れてるんですけどっ」&lt;br /&gt;　三少年と剣の人を置いていく気ですかっ。私の場合、背負えても子供一人が限界ですよっ。&lt;br /&gt;「あ、そうねえ。そんな時はあ、仙女のたしなみぃ」&lt;br /&gt;　どこから取り出したのか、綾井さんの鍾乳石みたいに滑らかな手には、コンパクトに巻かれた掛け軸がひとつ。&lt;br /&gt;「またそれですか……」&lt;br /&gt;　イカ津波とか、クラインさんの宇宙船沈みかけたりとか、正体不明なものに襲い掛かられたりとか、見知らぬ男性陣に言いがかりつけられたりとか、あんまりいい思い出がないんですけど、それ。&lt;br /&gt;「大丈夫よお、この前のとは別物だからあ」&lt;br /&gt;　それを聞くのも何度目でしょう……。&lt;br /&gt;　綾井さんはお構いナシに掛け軸を広げると、倒れた飛司少年たちへと向けた。衣擦れみたいな音を残して、その姿が水墨画の中へ吸い込まれる。水面と奇岩の群。夢で見た景色と似てる。&lt;br /&gt;　巻いた掛け軸をまたどこかへしまうと、綾井さんはピンヒールで軽やかに岩場を登っていく。さくら君は懐中電灯を手に、散乱したみんなの荷物を全部抱えて、私がついてくるのをきちんと待っている。ああ、何か玄関先にきりりとした目でお出迎えする豆柴を髣髴とさせて、ひそかに和むなあ。&lt;br /&gt;　私の現在の荷物は、とりあえずこのあったかい卵だけだ。何だか少し大きくなってる気がするけど、符が水を吸ったのかな。重くはないから、卵運搬係を続行します。&lt;br /&gt;　で、綾井さんはどこに行くつもりだろう。&lt;br /&gt;　何かあの軽快な足取り見てると、ちゃんと次の目的地があるみたいに思えるんだけど……。&lt;/p&gt;</content:encoded>


<dc:subject>小説</dc:subject>

<dc:creator>繭式</dc:creator>
<dc:date>2009-10-12T17:08:08+09:00</dc:date>
</item>


</rdf:RDF>
