歌う魔導学園と戦乙女編36倉庫と学び舎コース
あらすじ:宙塚高校のイベント会場でかえでと会い、さくらのことをアズマっちに話すなと釘をさされる心だが……。
←ぽちっとすると喜びまする。
はじめましての方もいつも読んでるよ~の方もお越し下さって本当にありがとうございます。
お立ち寄りの際や、お話を気に入ってくださった時は励ましのポチっとなをお願いします。
ウサギ年なのにカメのような更新スピードだったりする今日この頃……。すみません、すみません。それでも繭式は書いております……。
※著作権は放棄しておりません。※転載・複製禁止です。
私の日常 歌う魔導学園と戦乙女編36
かえで君、連れてきたのなら、同じように連れ帰ってくれればいいのに。
こんな関係者以外立入禁止区域にほっとくなんて。帰り道が分かりませーん。
宙塚高校の施設は、どこもかしこも大きい。
かえで君に言いたいことだけ言われて別れた後、イベント会場の自分の席に戻ろうと、歩き出したはいいけれど、行けども行けども廊下と倉庫の扉ばかりで、ちっとも会場に辿り着かない。
あれだけ大きく聞こえていた歓声も、遠くなる一方だ。
「変だなー。こっちから来たと思ったんだけど……」
『途中で何度か空間転移して方向は変わっているが』
「言うの遅っ!?そういうことは先に言ってよ、賢者さん!」
腕時計姿の賢者さんは全く動じる様子がない。
『分かっていたのではないのか』
分かるわけないじゃないですか。
「じゃあ、今は会場のどの辺りなんですか?」
『立入禁止区域の倉庫のひとつ』
「……もしかして、賢者さんも迷子になってるとか……?」
何気にツッコむと、賢者さんはしばし沈黙した。
図星……?
『いや』
続く返事は簡潔だった。
『学び舎に続く空間だ』
「はい?」
恐る恐る頭を触ると、髪はいつの間にか長く伸びていた。白い髪。
また学び舎コースに入り込んじゃった……。そーかー、もうそんな時間だったんだ……。
「どうりでさっきから似たような所ばっかり通ってるとか思ったら……」
初めて学び舎に続く道に迷い込んだのは、商店街のアーケードだった。
進む方向が違うと、延々アーケードが続いていたけれど、ここも同じことになっているのかもしれない。
「てことは、倉庫を出ずに、中を探索しないと進めないと……」
『そのようだ』
倉庫の中をぐるりと見回す。大型ホームセンターみたいに、大きな鉄筋の棚と梱包された道具類、それの積み下ろしに使うフォークリフトや、天井からぶら下がったチェーンがあるばかりだ。こんな所に先に進める出口があるんだろうか。
「あの二人、来ないですね……」
騎士のミヤマさんとコハクさん。暗い駅で別れたきりだけど、ちゃんと学び舎に帰れたんだろうか。
大きな棚の間を歩いていく。それこそ棚の陰から、カゲが出てきそうな雰囲気だが、何も起こらない。とても静かだ。
特に景色が変わったりする様子もないので、本当に学び舎つながりの空間を歩いているのか、元の自分の生活する場所にいるのか、分からなくなる。
倉庫を歩き続けて、とうとう端にまで辿り着く。
壁にはまた関係者以外立入禁止の文字。小さな扉がひとつ。
扉を開けると、細い通路の先に、また関係者以外立入禁止の扉。
「私……関係者……?」
『充分該当する』
賢者さんにすっぱり言い切られて、仕方なくその扉も開けると、がらりと雰囲気が変わった。
剥き出しになった木材と鉄筋の柱が所狭しと立ち並ぶ部屋。
何かの土台のようだが、暗くて全体は見渡せない。
暗がりの中で、一箇所だけ天井から明かりが射し込んでいるのが、柱の隙間から見えた。足はそちらへと向かう。
明かりは天井に開けられた穴から射し込んでくるようだった。
あそこから、学び舎に出られるんだろうか。
よく見ようと手をかざした時、ごとりと足元が揺れた。
床がせり上がっていく。

